MENU
mft

MFT

当院の特徴

お口のクセが歯科矯正治療に及ぼす影響

歯科矯正治療を日々していますと、舌癖、唇癖、指しゃぶりなどの強い機能的障害が、不正咬合の原因、もしくは歯科矯正治療の障害になるケースが数多く見られます。
経験として歯科矯正治療をおこなう時、強い機能的障害があると咬合の安定化を図ることが難しく、これを無視し続けると、時には歯根吸収の原因となる歯のジグリングを繰り返す可能性や、咬合不全を誘発する場合もあります。そしてせっかく歯科矯正治療が進んできても、機能的障害があればそれが逆戻りの原因にもなりえます。つまり機能的障害は、歯科矯正治療を進めるうえで致命傷となりかねない大打撃をあたえる可能性があるのです。

まだまだ低い日本での機能的障害の認識

しかし、日本では機能的障害に対する認識度はアメリカなどに比較しますとまだまだ低いのが現状で、今なおこの分野の専門職である口腔筋機能療法士(マイオファンクショナルセラピスト)などはいないのが実情です。アメリカ社会では言語治療に対する認識が高いため、言語療法士は古くから存在して認知度も高く、ここに口腔筋機能療法(マイオファクショナルセラピー 以後MFT)が言語治療のサポート役として出現し、子音がはっきりしないと伝わらない英語圏のアメリカでその実績と有効性が認められ、現在専門職として確実な地位を築いています。

これからのMFTの必要性

アメリカでは上記でふれた英語の子音のことや、他民族の個人実力主義社会であることから、歯列不正と発音障害はたいへん大きなデメリットと捉える傾向にあり、歯科矯正治療とともに言語療法が一般的になされてきました。(余談ですが、アメリカでは赤ちゃんが生まれると将来行うかもしれない歯科矯正治療費の積立てをはじめる家族も少なくないそうです。)日本では、これまで多少の歯並びの悪さや発音障害は、アメリカほど社会的デメリットと捉える傾向にはありませんでしたが、近頃はグローバル化や英語教育の重要性が叫ばれるようになってきたためか、歯並びや発音への関心が高まってきたように思います。そしてその関心の強さは私のMFTの講習会に多くの方にご参加いただくことからも伺えます。

歯科矯正治療の妨げとなる主な機能的障害

機能的障害と一言にいっても、歯科矯正治療に関係あるものとそうでないものがあり、いくつかの種類にわかれます。ここでは特に歯科矯正治療の妨げとなりやすい「指しゃぶり」についてご説明いたします。

【指しゃぶり】

指しゃぶり(吸指癖)は口腔習癖と呼ばれる体の一部をしゃぶったり噛んだりする癖の一つで、体の動きを伴う運動性の癖で身体玩弄癖とも呼ばれ、神経性習癖の中に含まれます。乳児期の指しゃぶりは発生頻度が70〜90%と高いため癖とは捉えず、多くは生理的範疇とみなされます。これが幼児期になると20〜45%に減少し、結局4歳までには90%が止まるという報告があります。このことからみて指しゃぶりが止まるのは子供の社会性の発達、対人関係の増加に伴って減少すると考えられています。

歯科矯正治療の悪要因になり、最終的にMFTの治療対象になる指しゃぶりは4歳以降に残ったものです。この時期の指しゃぶりの指導は難しく、ただの癖という概念だけで止めさせることは危険です。なぜなら、この時期の指しゃぶりは精神的ストレスからの開放であり、精神状態をあらわす一つの表現と考えられるからです。そして両親の理解度や協力度によってその更正に大きく違いがでるものでもあります。

それではいつ頃からどのような指導を行ったらよいのでしょう?

重要なことはお子様本人が止めたがっているかどうか、そして年齢は4歳以上ではじめます。止めたがっていない子には基本的に指導を行わないのですが、症状がひどい場合には、絵本のようなものによって指しゃぶりを続けていると醜い顔になったり、ご飯が食べられなくなることを自分自身で考えさせます。止めたがっているお子様だけに指導を行うのですが、気をつけなければならないのは、実際子供はそう指しゃぶりで困ったり悩んだりしてはいないケースが多く、親のご機嫌をとるために話をあわせているケースも少なくないことです。

元来、この年齢で指しゃぶりをするお子様は感受性が高い場合が多く、単純にその言葉だけ信じることはできません。指導者は先ずお子様とのコミュニケーションを第一に考え、お子様の性格、親子関係などを把握し、お子様が本心で止めたがっているのを確信してからスタートします。